そんな時、私に転機が訪れました。
篠原工務店のこだわりである「檜を使った家づくり」が番組制作会社の目にとまり、TVチャンピオンへの出演依頼がありました。
「持っている技術を活かすチャンスだ」という社長(父)の決断で、私は設計士として正月も返上でプラン作成をし、過酷な工期と決戦に備えました。
決戦の日。総指揮官の社長のもと、篠原工務店の全力を結集させて建築に挑みました。
皆が一つの目標に向かって助け合い、まとまり、知恵を絞る。時には夜中までお互いの意見をぶつけ合い、チームとしての誇りを形にしていく。今まで味わった事のないような興奮と喜びで体が震えるのを感じました。
苦闘の末に建物が完成し、露天風呂の湯船にお湯が張られた時、
達成感・充実感・疎外感・緊張感・・・
色々な感情がこみ上げてきて、涙が止まりませんでした。
結果は残念ながら準優勝でしたが、私は何ごとにも代え難い「現場は人がつくるんだ!」という確信を得ることができたのです。
妻にプロポーズしたのもその頃。テレビチャンピオンで優勝したら結婚しよう、そんな風に言ったらしいですが、準優勝だった私と共に人生を歩んでくれています。
またもう一つ、私には大きな大役が待っていました。
35歳、現会長の父親から篠原工務店を引き継ぐことになったのです。
さらにさらに、社長に就任してまもなく、2度目のTVチャンピオン出場の依頼がありました。これは自分を試す良い機会だ。とても厳しい工期に大工には、本当に苦労をさせる仕事ではありましたが、前回のリベンジの気持ちもあり参加を決定。前回の反省からより「チームワーク」を大切に行った結果は、見事優勝を飾ることができました。
「やっぱり現場はチームワークでつくるもの」
私はその時確信しました。家は、大工職人だけでなく、現場監督、設計、そして営業を含めた全員のチームワークがあってこそ、良い現場になる。
社長として、チームワークを大切に篠原工務店を良くしていこう。