家づくりとは

『ありがとう』の連鎖である。

「ありがとうの連鎖の家づくり」の原点 〜後悔を残した、5,000円の話〜

「おい、今度の日曜、上棟があるから手伝え!」
「わかった! 頑張るよ」

大工を稼業にする家に生まれた私は高校生の頃、よく父親の現場の手伝いをしていました。中でも上棟式は気分の上がる現場でした。父親譲りの職人魂に火がついたから?

いやっ、そうではありませんでした。上棟は家づくりの中でも重要な場面の一つ、多くの職人の手が必要です。そう、ご祝儀が良いんです。

「5,000円もらえる機会がきた」
そんな気持ちで臨んだある現場で、私は強い後悔をすることになったのです。

決意のない、大工への憧れ

昭和47年、父親である篠原勉が篠原工務店を設立した年に私は生まれました。
平成18年、33歳でその会社を引き継いだ私、篠原純一。
来年の令和4年には創業50年を迎え、私も50歳を迎える年になります。

幼少の頃の思い出は、父親のトラックに乗っていた記憶がほとんど。職人さんの作業する姿、ぶっきらぼうにやり取りをする声、そして木の香り。

家づくりの現場には、いつもたくさんの人がいて、私に声をかけてくれる。そんな温かさが好きで、僕もいつかは・・・という想いをぼんやりと描いていたものの、人の家を任される、その重みは全く感じてはいませんでした。

5,000円目当てに行った上棟式だったが・・

高校生なると、身体も大きくなり、まだ大工ではないものの一人の働き手として現場に駆り出されるようになりました。

「おい、今度の日曜、上棟があるあら手伝え!」
「わかった! 頑張るよ」

中でも大事なのは、上棟の時。大工職人にとっても重要な一日ですが、私にとっても待ちに待った日でもありました。

なぜか? 一世一代の家づくりの重要な場面に携われるから・・・ではなく、恥ずかしながら、そこでいただだけるご祝儀が目当てでした。

「5,000円もらえるぞ」

今思うと、お施主に申し訳ないくらいの軽い気持ちで臨んだある現場で、その気持ちに後悔の念を抱く出会いがありました。

決意の瞬間
「じいちゃんにも父ちゃんにも世話になったんだよ」

そのお施主様は、私の祖父の代からのお客様でした。

実はは私は、篠原工務店として法人化してからは2代目になりますが、その起源は大工である祖父にあり、昔からのお客様には3代目と呼ばれています。

「おぉ! 今日は純ちゃんまで来てくれたのか」

お施主は満面の笑顔で私を迎えてくれ、話をしてくれました。

「見てみな、あそこの母屋は純ちゃんのおじいちゃんに建ててもらったんだよ。そこは、お父さんに建ててもらった。いよいよこの家は純ちゃんにも手伝ってもらえるんだな〜。三代でお世話になって本当に嬉しいよ」

その言葉は、私の心にズンッ! と響きました。
5,000円目当てで来たことが恥ずかしい。自分の志を反省しました。さらに・・・

「純ちゃんがいるから、安心だな。これからも頼むよ!」

まっすぐな目で私を見て話すお施主様に私は言葉が返せませんでした。しかし、同時に決意しました。じいちゃんから引き継いだこのお施主様の笑顔と安心を自分で途絶えさせるわけにはいかない。

私が、3代目としてその道を進む覚悟を決めた瞬間でした。

越えられない壁〜創業者の息子として働く〜

その後、本格的に建築の勉強をはじめた私は、大学で建築学科に進み、その後、自衛隊の隊舎や、特別養護老人ホームなどの建築など大きな建物を建築するゼネコンに就職し、現場監督として家に限らない様々な建物を経験しました。

一方で篠原工務店もおかげさまで仕事が増え、会社も拡大。そんな平成10年、いよいよ私も篠原工務店に入ることになりました。

皆に認められなければならない。

社長の息子として入社するというのは、独特の緊張感があるものです。なんとか、成果を出すために認められるために、昼夜問わず働くとにかく仕事の時間だけは負けてはいけない、そんな気持ちでした。

・・・ちなみにその癖は今でも抜けていなくて、
   会社には誰よりも早く来るようになってしまっています。
   社員にとってはプレッシャーかもしれないと少し反省しています

話は戻して当時のことですが、そんな一生懸命仕事に打ち込み、成果をあげるのですが、父親の壁はとても厚い壁でありました。成し得た成果に対しての周囲の評価は「やっぱり社長さん(父)はすごいですね」と。

「やったのは俺だろ! 認められないならもっと大きな仕事をやってやる!」とムキになり、職人さんに迷惑をかけてしまった事もありました。

TVチャンピオンで得た、転機〜父親との絆〜

そんな時、私に転機が訪れました。
篠原工務店のこだわりである「檜を使った家づくり」が番組制作会社の目にとまり、TVチャンピオンへの出演依頼がありました。

「持っている技術を活かすチャンスだ」という社長(父)の決断で、私は設計士として正月も返上でプラン作成をし、過酷な工期と決戦に備えました。

決戦の日。総指揮官の社長のもと、篠原工務店の全力を結集させて建築に挑みました。

皆が一つの目標に向かって助け合い、まとまり、知恵を絞る。時には夜中までお互いの意見をぶつけ合い、チームとしての誇りを形にしていく。今まで味わった事のないような興奮と喜びで体が震えるのを感じました。

苦闘の末に建物が完成し、露天風呂の湯船にお湯が張られた時、
達成感・充実感・疎外感・緊張感・・・
色々な感情がこみ上げてきて、涙が止まりませんでした。

結果は残念ながら準優勝でしたが、私は何ごとにも代え難い「現場は人がつくるんだ!」という確信を得ることができたのです。

妻にプロポーズしたのもその頃。テレビチャンピオンで優勝したら結婚しよう、そんな風に言ったらしいですが、準優勝だった私と共に人生を歩んでくれています。

またもう一つ、私には大きな大役が待っていました。
35歳、現会長の父親から篠原工務店を引き継ぐことになったのです。

さらにさらに、社長に就任してまもなく、2度目のTVチャンピオン出場の依頼がありました。これは自分を試す良い機会だ。とても厳しい工期に大工には、本当に苦労をさせる仕事ではありましたが、前回のリベンジの気持ちもあり参加を決定。前回の反省からより「チームワーク」を大切に行った結果は、見事優勝を飾ることができました。

「やっぱり現場はチームワークでつくるもの」

私はその時確信しました。家は、大工職人だけでなく、現場監督、設計、そして営業を含めた全員のチームワークがあってこそ、良い現場になる。

社長として、チームワークを大切に篠原工務店を良くしていこう。

教えてくれた、お客様

その後は、篠原工務店としても社長としても充実した日々を迎えました。
総合展示場にも出展すると、その名は広く知られるようになりました。でも、調子が良いという時は、自分も調子が良い時で、大切なことを忘れかけている時でもありました。

「お客様はなぜ、篠原工務店を選んでくれているのか?」

事業が軌道に乗りってくると、経営者として数字ばかり追いかける日々になっていました。それが直接的な原因かどうかはわかりませんが、会社内もどこか落ち着きがなく、退職する社員も増えてきました。

このままではマズイかも・・・なんとなくそんな空気を感じた時、あるお客様の元へ、建築後の感想を聞きに伺う機会がありました。

それは、会長が初めて建てた家のお施主様。
訪問してスグ思ったのは「古い家だなかぁ」ということ。もしかしたら、あそこが悪い、ここを直せとクレームになってしまうんじゃないか? そんな不安をよそに、お施主様は笑顔で迎えてくれました。

「息子さんも来てくれたんかい」

前述した上棟式のお施主様と同じような、満面の笑みでした。

話を聞くと、クレームどころか、会長にお礼の言葉を何度も言ってくれるお施主様。

「私たちにとって、最高の家をつくってくれてありがとう」その言葉と共に当時の思い出をたっぷり語ってくれました。

(・・・そういうことか)

私は、勘違いをしていました。
良い家、良い現場をつくることが私たちの役割。
どこかでそう思っていました。

しかし、気づきました。私たちは、ただ単に家というモノをつくっているのではなく、住まう人の幸せな暮らしをつくっている。だからこそ、良い家、良い現場に加えて、そこに住まう人の気持ちが満たされる家づくりをしなければならないんだ。

私は、お施主様のおっしゃってくださった「ありがとう」の言葉を大切にそれがずっと続いていくように“ありがとうの連鎖の家づくり”を私たちの合言葉に掲げ、仲間とともに誓い合いました。

これまでの50年とこれからの50年
ありがとうの連鎖の家づくり想いを込めて

人が住む家だから、
人の気持ちが満たされる家づくりを。

今、時代は目まぐるしく変わっています。
また、東日本大震災や、台風や水害、そして新型コロナウィルスなど、安定しない毎日が続いています。

その中で私たち篠原工務店は、その時代その時代に合わせたお客様の幸せな暮らしづくりを求めて、様々なサービスを用意してきました。

それぞれのサービスブランドは、篠原工務店のこれからを担うスタッフたちが心を込めて立ち上げた新たなブランドです。これからを担う世代が、変化を恐れず、お客様に役立つために進化していく様をどうぞ、ご覧いただければ幸いです。

また、時代が変わっても、
変わらないこともあります。

「ありがとうの連鎖の家づくり」

人と人とのつながり、住まう人の気持ちを満たされた家づくりをしてくことはこれからも変わりません。

最後に、ここまでお読みいただいた方、

これから家づくりをされる方に一言メッセージをお送りさせていただきます。

あなたの家づくりをより良いものに、そしてその後の幸せな暮らしをつくるために、家づくりの情報収集は、インターネットだけで終わらせずに、モデルハウス等の実際の家を見て検討いただければ幸いに思います。

なぜなら、同じ家でも人により感じ方が変わるからです。篠原工務店のモデルハウスに限らず、実際に確かめてみることを大切に、家づくりの検討をすすめていってください。

そしてもう一つ。
家を見学する際はぜひ、その場を案内するスタッフとたくさん話をしてください。

意見がぴったり合うパートナーを見つけることが、
もう一つの良い家づくりのコツなのです。


もし、篠原工務店にご興味お持ちいただけましたなら、モデルハウスでぜひお会いいたしましょう。私の自慢のスタッフたちが、ありがとうの想いを込めて、接客ささせていただきます。

代表取締役 篠原 純一(しのはら じゅんいち)

[ニックネーム] じゅん、しの
[生年月日]昭和47年12月9日
[血液型] A型
[出身]茨城県猿島郡境町
[資格・特技]一級建築士、一級建築施工管理技士、珠算2級、剣道2段、料理(お好焼き、ちらし寿司)

[趣味・休日の過ごし方]
個人的な趣味は、ゴルフですね。休日は家族で過ごすことが多いです。コロナ禍では、あまり遠出できない日々が続きましたが、家で楽しめることを探して遊んでいます。最近では、オンライン家族旅行をしました。ガイドさんが現地をオンラインで案内してくれて、まるで一緒に歩いているように楽しめるんです。オンライン登山で富士山に登った時は不思議な気持ちでしたね。爽快感もありつつ、身体は全然疲れていないなんとなくの違和感。
いずれにしても、早く実際に体験できるようになって行くと良いな、と思っています。