家づくりとは

『ありがとう』の連鎖である。

004:茨城県古河市 Sさま邸


【ご家族構成】
S様ご夫妻・お母様・息子様(高校生)
【引渡年月日】H17年10月01日
【土地面積】1560.32㎡ 472.09坪
【建物面積】245.74㎡  74.35坪(平屋)
【プランでこだわった点】
・数寄屋風の外観
・建築中に亡くなったお父様がこつこつと溜め込んだ材料を使うこと。

インタビューアー:篠原工務店 高島、久野(久)


 interview_s-3-02

高島:ちょうど去年の9月ぐらいにお引渡ししたので、やや1年が過ぎたかな、というところですよね。まずは、住んでいただいての感想などはいかがですか。

ご主人:住んだ感想はねえ、去年の冬は非常に寒かったけど、家の中は暖かかった。快適。

奥様:でも電気代はかかりました。

ご主人:昔ストーブを使っていたと思えば、前より効率はよくなってますけどね。前は灯油代がかかっていたから。

お母様:日当たりがいい分だけ効率いいよね。日当たりは本当にいいよ。ずーっとこう差してくるでしょう。

奥様:明るいもんね。

interview_s-3-03

高島:寒い時期に、日が差してくれるといいなあって考えていたんですよ。

お母様:朝はこっち側がすごく明るい。

高島:東側は明るいですよね。だんだん日が傾いてきてからはどうですか。早い時間に影になっちゃって寒いんだよ、ということはないですか?

お母様:お昼頃になると今度は中庭の方から光が入ってくるから。

高島:ああ、それならよかったです。この建物の中で1番気に入ってるのは・・・。

ご主人:日当たりでしょ?

お母様:まあ、日当たりだね(笑)。

高島:お母さんの部屋は、南側の1番いいところですからね。ご夫婦の気に入っている場所は?

ご主人:このへん(居間)ですね。

お母様:ここは広々と、ほんといいよね。

高島:でも、最初引っ越された時、「もうちょっとでかい方が・・・」なんてSさん言ってたんですよ。

奥様:家具を置いたから狭くなったんじゃないの?

ご主人:それはあるかな。でも・・・まあ、強いて言えばね、普段居間にいるでしょう、で玄関が向こうでしょう。だから・・・住んでみて気づいたんだけど、お客さんが来た時に「あ、誰か来たのかな?」ってすぐにわからないんだよね。玄関の様子が、居間からわかった方がよかったかな。

高島:ああ・・・商売をされている方は余計にそういう意識もあるんでしょうね。私は逆だったんですよ。お客さんが来て、あんまり落ち着かないうちよりはちょっと囲われた空間みたいな、仕事からこう解放されてね、ほっとしてもらいたい、という意識があって。

お母様:わたしは居間にもうひとつ出入り口があったらよかったと思うね。

高島:ああ、リビングから直接廊下に出られるように。そんなプランも最初はあったんですよね。

ご主人:別々に入口があれば・・・。

お母様:そう。それだけかな。


高島:あの、土間の応接間が、もうちょっと活用していただけるものかな~と思ってたんですが(笑)。あれがね、もったいないスペースになっちゃったのが・・・。

奥様:どこ?

ご主人:土間、土間。

高島:あの、ワンちゃんのスペースですね。

奥様:ああ。

interview_s-3-04

ご主人:広さがちょっと・・・半端だったのかな。フロア上がってあそこをロビーのように広くしたほうがよかったのかもね。結局、お茶を飲むにしては、日当たりが悪くて暗いんだよね。構想では違ったんだけど。

高島:光を入れる窓を取りがたかったんですよね、掃き出し窓をつけるとか。すごい立派なスペースなんだけれど・・・。

久野:もともとはお客様用に、と考えて作られたんですね。

お母様:そう。そういう感じだったの。で、テーブルまで作ったんだよね。

高島:ねえ。全然使わず、ワンちゃんのスペースに・・・(笑)

久野:テーブルは、今・・・。

高島:玄関の右側にあったじゃない。「なんでこんなところに置いてあるんだ?」って所に、ねえ(笑)?

ご主人:金をかけた割には・・・。

奥様:でもあそこに犬がいるからみんな衝撃をうけるからいいんじゃない?「うっそー!」って(笑)。

お母様:もったいないなって思うのはそこだけだね。

ご主人:明るければ、違うんだろうな。

高島:隣の玄関が非常に明るいというのもありますよね。

interview_s-3-05

お母様:逆ならね。

高島:そうですね、玄関があれぐらい暗いなら、「どうぞこっちでお茶を」ってなるんですよね。スムーズに誘導できるのが・・・。でも玄関入って、みなさんやっぱり驚くでしょう?これは。素敵な庭になりましたね。

interview_s-3-11

お母様:みんな「わあー!」って言うわねえ。でき上がるまではこんなに良くなるとは想像つかなかったけど。玄関が明るいっていうのは、やっぱりいいよね。


高島:でも1年経つと、ほんとに「自分の家」になってる状況ですね。欲を言えば・・・お父様がね、何日間でもちゃんと引っ越せる日に間に合うようだったら・・・。(S様のお父様は、建築中に亡くなってしまいました)

お母様:うーん・・・でもそれはしょうがないね。そういう運命だったんだから。

高島:でもいろんな部分にお父様の匂いがちゃんとついているようなおうちにはなりましたからね。まあ、・・・これだけのものができれば、きっと満足してくれていると思います。

お母様:そうだよね。


interview_s-3-06

高島:えーとでは次に・・・「こだわった点、建てるまでの苦労」か。基本的に、Sさんもお父様も「和風の建物!」という、その辺は最初から共通していましたよね。意外と2人とも、我を張るお2人で・・・(笑)。

interview_s-3-07

お母様:そうそう。(お父様が)元気でいたら、多分もう、こうやって・・・。

ご主人:そんなことないよ!

奥様:ケンカだよ~!

久野:家造りに対する共通項だった「和風」というのは、主に外観ですか?

ご主人:外観も中もだけど、外観というのが大きいんじゃないかな。

高島:この辺での和風というと入母屋の、いわゆる農家の立派な和風というのがイメージですけど、お2人とも「数寄屋・すっきりとした和風で」というのがありましたね。

お母様:和風だったんだね。最初から。

interview_s-3-10

高島:あとは、お父様がしたためた材料をうまく使う、というこだわりがまずありましたね。うちのほうも、本物の「和の真髄」たるような内容の建物にしたいという、その意気込みはありましたしね。

お母様:材料を使ってくれたってのが、一番うれしいんじゃないの。亡くなった人は。

ご主人:親父が桜の板を使ってもらわないとって言ってたよね。

お母様:桜はこだわったね。

interview_s-3-08

高島:やっぱり和風の建物を造ろうって方は、材料をこつこつためてる方って多いんですよ。それが、うまく出来上がって「使ってもらえてよかったなあ」と思ってもらわないといけないんで、作る側としたらこれはやっぱりプレッシャーにはなるんですよ。でもSさんのところはいい材料を取っておいてくれたから、その辺はやりやすかったというところですかね。ちゃんと大工さんも造作とか頑張ってくれて。

ご主人:まあ、不満といえば・・・(小声で)ちょっと良くなりすぎちゃったことかな。

一同:爆笑

高島:いやいや・・・。でも誰が見ても本当に「邸宅」らしい邸宅になっていると思います。

interview_s-3-09

高島:では次に、これから家を建てる人へのアドバイスなどありましたら。

ご主人:やっぱりね、間取りでも何でも、ある程度自分で考えないとね。まかせっきりでは。自由設計っていう、ユニットとは違うのが、篠原工務店のウリだろうから。ちゃんと打合せをしてね。やっぱり「どういう家を建てたいか」ってのを考えておくことが大切かな。

久野:私はCADでS様邸の作図をやらせてもらっていたんですけど、間取りをけっこう何度も変更というか、練っていらしたのが印象的だったんですけど・・・。Sさんから会社のほうへ、何度か間取り図をFAXしていただいたことがありましたが、あれは何を使って描いていたんでしょうか?

ご主人:ああ、あれはエクセルですね。けっこう頑張ったんですよ。棚のレイアウトだとか。

高島:そうだ、Sさんがエクセルで描いてきたときにはびっくりしましたよ。Sさんの想いっていうのがひしひしと伝わってきましてね。「きっと仕事が終わってからやってんだろうなー」ってのを考えますと。

久野:そうですよね。

ご主人:やっぱりね。最初の打合せをしっかりしないと、とんでもないことになっちゃうからね。もう建てられないんだから。

久野:その想いがすごく伝わってきたので。だから私のほうも、一生懸命図面描かなくちゃと思ってやらせていただいていました。


お母様:あとはあれだね。お勝手のところ差込口(コンセント)が少なかったかな。もうちょっとあったほうがよかったなと思うんだけど。

奥様:差込ってわかんないですよねー。家具で隠れたりして、使いたいところになかったり。

高島:そうですよね。つけても一度も差したことがないとこもありますし、かえって多く配置したかなって思っても足りないとか。

お母様:これは難しいわ、やっぱりね。住んでみないと。

高島:今朝も会議で出たんですよ。統計によると、大体建て終わった方の不満点として、57%位が電気の配線についてなんですよ。

ご主人:へえ。

高島:あとは思ったよりも部屋が大きい・小さいといったバランスの取り方とか、暗いとか。やっぱり皆さん電源周りのコンセントとかスイッチとか、その辺りで「もうちょっとなあ・・・」というのが出てくるようです。

ご主人:電気もそうだしテレビの配線もね、模様替えしようと思っても配線来てないからこっちにはテレビを置けないとか。

高島:リビングとか、無駄なようでも2ヶ所ぐらいテレビの配線をやってあげるともっと親切かもしれませんね。あとは、どうですかね。これから家を建てる人への助言として、他に何かありますか?

ご主人:うーん。

高島:ワンちゃんの居場所とか?

ご主人:それは・・・犬飼ってる人はまじめに考えたほうがいいよね。

高島:誰しもペットを家族の一員と思っていますけど、その度合いは人それぞれですからね。私は、ペットも家族の一員的な存在であると思っていましたけど、そんなにまで大事にされる位置づけだとは思わなかったんですよ。だから、お施主さんと話してみてもちょっとの時間じゃわからないものだな、と改めて勉強になりました。今後充分気をつけなくちゃな、と。それにちゃんと応えられないと、そういうお客様に頼んでもらえなくなっちゃいますからね。「こいつ解ってねえな」って。

ご主人:それはそうだよね。こっちとしては、あんまりほら、犬、犬って言ってると、誰が住むんだよって思われちゃうから。

高島:きっとお施主さんも遠慮しながらなんですよね。「犬のことばっかり言っているとなあ」って。でもそれは聞く側が上手に引き出さなきゃならないところなんですよね。


高島:では最後に、篠原工務店に対して一言お願いします。

ご主人:やっぱり、ハウスメーカーみたいな画一的なうちじゃなくて、お客さんの要望を聞いて、きちんと管理してもらってセンスもあって。昔からの付き合いっていうのもあったんだけど、そういう理由で篠原工務店に工事をお願いしたんですよ。コストを考えれば、パターン化された住宅がいいかもしれないけど、それじゃあやっぱり面白くないからね。今の篠原工務店のままで頑張ってもらいたいですかね。

高島:ありがとうございます。ご期待に沿えるようこれからも頑張ります。

interview_s-3-12